ネットおける消費者心理と行動理論

マーケティングを考えるうえで、消費者がどのような行動をとるか、心理的な側面から分析・予測することはとても重要です。従来からあるスタンダードな行動理論「AIDMAモデル」に対し、ウェブマーケティングで用いられる理論は「AISASモデル」と呼ばれます。

消費者が、広告などにより商品やサービスの存在を知るAttention(注意)、その商品・サービスについて関心を持つInterest(関心)、商品・サービスが欲しいと感じるDesire(欲求)、商品・サービスを記憶するMemory(記憶)、実際に店舗に行って商品・サービスを購入するAction(行動)。これが消費者が商品やサービスを知り、購入に至るまでの心理と行動を理論としてモデル化したもので、ネット以前のマーケティングではこの「AIDMAモデル」が一般的でした。

しかし、インターネットや検索エンジン、特にSNSの登場によって、消費者の行動理論や心理状況は大きく変化しました。まず消費者が、テレビやラジオ、雑誌、街頭広告、ニュースサイト、SNS、ブログなどにより、商品やサービスの存在を知るAttention(注意)、その商品・サービスについて関心を持つInterest(関心)、ここまでは従来のマーケティング理論と同じですが、次からが大きく異なります。消費者はAttention(注意)、Interest(関心)の過程を経た後、その商品やサービスをスマートフォンやパソコンを使ってSearch(検索)し、その商品・サービスにまつわる情報や口コミなどを仔細にチェックします。そしてそこで信頼や安心を含めた価値を感じて初めてAction(行動)を起こします。消費者は、企業の施策したマーケティング戦略に則って商品・サービスを購入しましたが、しかしネットを扱う消費者の心理・行動はそれだけに留まりません。次はそれを、Share(情報共有)したがるのです。つまり、自分が購入した商品やサービスを、ネットを使って拡散し、第三者に知ってもらうための行動をとるのです。

拡散される情報が、ポジティブなものであったとしても、ネガティブなものであったとしても、企業がそれをコントロールすることは事実上不可能です。そうして拡散・共有された情報は、さらに別の消費者のAttention(注意)を引き、Interest(関心)を得、Serch(検索)されます。

この循環のフローが、従来のマーケティング理論にはない、ウェブマーケティングにおける最大の特徴です。ここで良いサイクルを形成できれば、ひとりの消費者が自らの心理と行動理論によって新たな消費者を呼び込んでくれることになり、雪だるま式に売上は上昇することになります。しかしその一方で、このサイクルの形成に失敗すると、ネガティブな評判だけが拡散され、新たな消費者の購入機会を次々と排除していくことになり、企業としては非常に厳しい状況に追い込まれます。ウェブマーケティングでは、この“循環”を巧く利用できるか否かが、非常に重要なポイントとなります。