ECサイトのソーシャルメディア戦略

ECとは、Electronic Commerce の略で、電子商取引のことです。インターネット上で物を売ったり買ったりし、代金の決済までを行うことを指して言い、eコマースとも呼ばれています。

2016年6月に経済産業省より発表された、2015年度の日本国内におけるEC市場は、BtoBで196兆円、BtoCで13.8兆円。前年比の伸び率は、BtoBで3.5%増、BtoCで7.6%増となりました。
すべての商取引に占めるEC取引(電子商取引)の割合を、「EC化率」と呼びますが、国内では、BtoBのEC化率が18.3%、BtoCのEC化率が4.37%と、日本のEC市場がいまだ成長段階にあり、今後ますます伸びていくことを表していると言えます。

企業がECサイトを運営し、売上を確保していくためには、もはやソーシャルメディアの活用は必須となっています。しかしそのソーシャルメディアを具体的にどう取り扱い、実践していくべきか、それは企業の業種・業態・アイデンティティなどによって向き不向きがあるため、各社トライ&エラーを繰り返しながら独自の手法を編み出し、それを掴んだ企業だけが成果の実感を得ているという状況のようです。

(※ NTTコムリサーチが『国内企業におけるソーシャルメディア活用状況』に関する調査を実施。8割以上の企業が「ソーシャルメディアの運用は売上増加に効果があり」と感じていると発表した。)

ソーシャルメディアを活用するうえでもっとも重要なことは、コンテンツマーケティングの実施であると言えます。
コンテンツマーケティングとは、ユーザーにとって有益で説得力のあるコンテンツを、持続・継続的に制作・配信することによって、検索エンジン経由での集客効果を高めるウェブマーケティングならではの手法です。従来のPUSH型マーケティングに対し、PULL型マーケティングと呼ばれています。

PULL型マーケティングの本質は、即時・一時的な集客や成果を求めるものではなく、その見込み客や潜在顧客との中長期にわたるコミュニケーションを実践することに注力し、最終的に購買や企業ブランドの周知・拡大を目指すものです。ただ単純に、サイト内に良質なコンテンツを配置しておくというだけではなく、ソーシャルメディアの拡散能力を最大限に活用することが、コンテンツマーケティング成功の重要な施策であると言えます。

ホワイトハットSEO

企業がSEO対策に取り組む目的は、検索を通じてビジネスを成長・成功させるためです。
ある企業がウェブサイトの活用・運営に着手し、特定の商圏に関連するキーワードでSEO対策を始めれば、それを実施していない他の競合は、相対的に必ずGoogleの検索ランキングで下位に押しやられます。
費用をかければ広告を出稿することはできますが、資金が尽きてしまえば当然、ネット上から消えてなくなります。

SEO対策を、ウェブサイトをビルドアップし続けていく目的を持って実施できれば、その成果は広告のように即時限定的なものではなく、継続的に積み上げられていく成果となります。ここで重要となる考え方は、SEOを「費用⇔収益」ではなく、「投資⇔資産の蓄積」と考えて取り組むこと、と言えます。

SEO対策と聞くと、ページ内にキーワードを乱発したり、リンクを強制的に集めたりといった、いわば技術的な施策を思い浮かべる方もいると思いますが、そうした小手先で実施可能なSEOは、『ブラックハットSEO』と呼ばれ、2011年くらいまで横行し、それなりに効果があったためにそれを専属で請け負う業者も存在しましたが、Googleの検索アルゴリズムの成長によって現在ではほとんど効果を成さなくなりました。
Googleが『ブラックハットSEO』を除外したのは、極論を言うとそれがそもそもGoogleを欺くための手法であり、検索しようとするユーザーの利便性とは無関係のものであったためです。

誰もが無料で使えるGoogleの、収益の大部分は広告収入によるものです。検索されるキーワード=ユーザーの期待に対し、より良質で精度の高い情報を返すことがGoogleの存在意義であり、多くのユーザーの利便性を高めることになります。それがすなわち、Googleがより多くの広告を集め、シェアを拡大していくための大きなアドバンテージになるのです。
『ブラックハットSEO』は、そうしたGoogleの目的や指針を大きく阻むものであったと言え、それが駆逐されるのは当然の流れと言えるでしょう。現在、Googleを欺くためのコストは上昇する一方で、得られるリターンは限りなく小さくなっています。

上記を踏まえて解るように、最も有意で価値のあるSEO対策は、検索をするユーザーにとって良質な情報を、持続継続的に提供することだけだと言えます。そうしたウェブサイトがGoogleからの信頼を受け、またその精度の高い情報がSNSなどのツールによって拡散・共有され、更にアクセスを集められるといった好循環を生む、いわばユーザーのニーズに最大限に応える施策だけが、有効なSEO対策と言えます。

しかしただ情報だけを詰め込んでいけばいいかと言えば、それも時代の流れによって変化をしていき、現在、SEO対策を効果的にビジネスの成長に繋げていくためには、デザイン、サイト設計、ユーザビリティ、マーケティング、ブランディングといった様々な要素にメスを入れ、総合的で持続継続的なブラッシュアップを、常に行っていく必要があると言えます。

サイト構築における PDCA サイクル

PDCA サイクルとは、典型的なマネジメントサイクルの1つで、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)のプロセスを順に実施していくことを言い、ウェブマーケティングの効果検証を行う際にも重要なプロセスとなります。
最後の Act では、Check で出た結果をもとに、最初の Plan で策定した内容を継続(定着)・修正・破棄のいずれかに振り分け、次回の Plan に結びつけます。

インターネットの世界は、局所的に観察すると、予測不可能な混沌とした環境のように思えますが、しかし全体を論理的に捉えることができれば、むしろ統計的な分析や予測を行いやすい環境であると言えます。

アクセス解析では、様々な分析ツールを使い、ネットユーザーがインターネット上に残した足跡を追跡して、その行動やパターンを観察・分析していくのですが、重要なことは、ユーザーの足跡や行動を一種の“印”として捉えるのではなく、その行動や志向を企業なりに推測し、仮説を立てて繰り返し検証・改善することです。

ウェブサイトは、運営する企業によって、その目的、規模、業態、ユーザーの特性などの諸条件が大きく異なるため、アクセス解析の結果や数値だけを見て、単純に弾き出せる対策やセオリーは、実はほとんど存在しません。
いくつも仮設を立て、その仮説にのっとった対策を行い、予想通りの変化があれば仮説は正しかったものとして次のステップに進み、そうでなければ他の仮設を立て、再びそれにのっとった対策を行っていく、そうしたサイクルを継続的に続けていくなかで、その企業独自の答え、独自のセオリーに少しずつ近付いていくことができるのです。

世の中に溢れる形骸的なスキルやノウハウに惑わされることなく、独自の仮設と検証を繰り返し、改善を重ねていく。それが、効果測定におけるもっとも有効な PDCA サイクルと言えます。

ペルソナマーケティング

マーケティングの最も基本的な考え方として、「ペルソナ」の設定があります。
ペルソナとは元々、19世紀スイスの心理学者 カール・グスタフ・ユングが打ち出した概念で、古典劇において役者が用いる仮面のことをそう呼んでいたものを、ユングが人間の〝外的側面〟を捉えて「ペルソナ」と呼称したことが始まりだそうです。

この「ペルソナ」をマーケティングで用いる場合、それは実際に自社の商品やサービスを使ってくれるであろうモデルユーザーを「ペルソナ」として設定し、そのユーザーのニーズを満たす形で商品やサービスを設計することを目的とします。

例えば、『35歳 男性 既婚 大阪在住』など、商品やサービスを提供したい相手を、あるセグメントにおける代表的な特長を合わせ持ったユーザーとして仮定し、その人物に向けたアプローチを行います。

ペルソナの設定には、ペルソナの仕事や収入、家族構成はもちろん、趣味やブランド、読む雑誌、好きな音楽、観たい映画、将来の夢など、どこまでも細かく設定をし、できるだけ具体的で現実的な人物像を想像します。そして彼がどうすれば商品やサービスに触れる機会を与えられるか、そのサービスのファンになり、LTV(顧客生涯価値)を引き上げられるかを徹底的に追求します。

ペルソナは架空の人物像ですが、事実に基づいた情報から作らなくては意味がありません。
企業や商品、サービスに対し、一人の顧客がすべての理想的な条件を満たすことは決してないため、ペルソナは理想の顧客そのものと捉えるのではなく、既存顧客から得た情報やインタビュー、調査データなどをもとに設定するのが望ましいと言えます。

インターネット広告の特徴

インターネット広告と従来の広告の大きな違いとして、インターネット広告は、関心のある消費者にピンポイントで広告を提供できるという点が挙げられます。
テレビCMを例にとると、消費者がそれを見ている場合、もちろん能動的に見ている場合もありますが、多くはそこにCMが流れているからただ何となく見ている、といったケースが圧倒的だと思われます。テレビCMは、個別の視聴者の興味や嗜好に合わせた内容をチョイスして流すことができませんので、男性向けの商品を女性の視聴者に表示していたり、若者向けの広告を年配の視聴者に表示していたりという、非効率な事態が数多く発生しています。

しかしインターネット広告では、ユーザーがあるキーワードを検索しているときに、そのキーワードに関連した内容の広告だけを表示することが可能です。
ユーザーは、検索しているキーワードに対し、何らかの興味・関心を持っていることは確かですので、そこに表示された広告がユーザーに対して訴求力を持つ可能性は高いと言えます。
私たちが普段、日常的に触れているそうしたインターネット広告は、ただ闇雲に表示されているわけではなく、ある程度こちらをセグメンテーションした上で表示されているわけです。

インターネット広告は、ハイパーリンクを使うことで、ユーザーが即時簡単に購入動作に移ることができます。興味を持った次の瞬間には、広告された商品やサービスの詳細を知ることができ、問い合わせや資料請求、購入までを一連の流れでスムーズに行うことができます。
これもまた、テレビCMをはじめとする他の広告媒体では難しかった点と言えます。

広告を出稿する企業は、少額からの実施が可能であり、出稿した後は、詳細な効果測定を行うことができます。テレビCMや新聞雑誌広告などの従来型のメディアでは、広告を見て購入意欲が発生してから実際の購入までのステップが連続的でないために、ある広告が実際にどれだけの費用対効果を生み出しているかについて判断することは困難でしたが、インターネット広告は、広告を見ることと購入することのステップに連続性があることが多いため、どのような広告が効果的なのかについて、データに基づいた客観的な検証が可能であり、戦略的な対策を練る多くのヒントが得られるのです。

アフィリエイトプログラムについて

アフィリエイトとは、個人が自分の運営するホームページやブログ上で、企業の提供する商品やサービスを紹介し、その記事やコンテンツを見たユーザーが、実際に企業の商品やサービスを購入した際などに、紹介者が報酬(広告収入)を受け取ることのできる仕組みです。

広告を出稿したい企業と、自社のサイトに広告を掲載することで収入を得たいと考えるホームページ・ブログ運営者が提携する仕組みですが、企業と運営者が直接契約を結んだり、出稿データや報酬のやり取りをすることはなく、アフィリエイトサービスプロバイダ(ASP)と呼ばれる広告仲介業者を通して行われることが主流です。

企業にとっては実際の購入や申し込みなど、成果が出たものに対してのみ報酬(=広告費)を支払う、いわゆる成果報酬型であるため、上手く活用できれば費用対効果の高い広告となります。
アフィリエイトを行う個人=アフィリエイターにとって、魅力的ととれる商材・サービスを提供できれば、広告掲載費を支払うことなく、商品・サービスの拡散がほとんど負荷なく行えます。商品・サービスに目新しさや訴求性があれば、アフィリエイターの書く記事からSNSなどを通じて、不特定多数の人や企業に認知・拡散される可能性もあります。

ネット上に存在する多くのホームページやブログに、商品やサービスの広告を無料掲載できるメリットがある反面、その掲載面の把握や制御が難しいという側面もあり、商材によっては注意が必要です。

ASPを通し、サービス利用の設定で、どのようなジャンルのホームページ・ブログなら掲載してもいいか、広告を出稿する企業側でホームページ・ブログを確認してから提携を承認する、など、各社制限を選択できるオプションがありますので、必要に応じて検討する必要があります。
あまり制限を強くしてしまうと、アフィリエイトプログラムを活用する効果自体が薄れてしまいますので、企業にとっては柔軟な対処が求められると言え、あまり短期的な広告運用には向いていないとも言えます。

口コミ効果について考える

多くの企業がSNSによって成される口コミ効果に注目し、SNS内で自社商品のブームを起こそうと対策を行っていますが、SNSは評価を製造するスペースではなく、既にある程度固まって存在する評価を、爆発的に拡散させるためのスペースです。
ここを取り違えると、コストと時間をかけてもなかなか成果が上がらないといった状況に陥る可能性があります。

企業、商品、サービス、ブランドに関する口コミを意図的に広めるPR手法として、バイラルマーケティングがあります。既存のユーザーや有名人などにインセンティブを設けたり、種々の工夫を凝らして、その商品やサービスを周囲に紹介・宣伝してもらうといった手法です。
これは情報発信者に、同じ消費者という立場で、実際にその商品・サービスを利用した経験や感想をインターネット上に発表してもらうことで、他の消費者にとって普段触れ慣れている一般的な広告とは違った、目線を合わせた意見、公正な情報として信頼を得られる効果が期待できます。
またbuzzマーケティングという手法も、バイラルマーケティングと同様、口コミを意図的に広めるためのPR手法ですが、口コミを発生させるために、企業側がより積極的に踏み込んで、意見や発言の誘導までを行います。
これらはいずれも程度が過ぎると、“ヤラセ” や “ステルスマーケティング” と判断され、プロモーション企画だけでなく、商品や企業のイメージにまで深刻な影響を与える可能性があり、取り扱いには特に注意が必要です。

ウェブマーケティングでは、巨額の資金を投入してテレビCMを流し続けるなどといった、ある種パワーゲームのような手法によってユーザーに強く働きかけるタイプのPRはできません。いつ、どのウェブサイトの、どのページを閲覧するかは、全面的にユーザーの選択に委ねられているからです。そのため、ウェブマーケティングにおけるイメージ戦略は、ユーザーの一つひとつの発言や評価がとても重要になります。

SNSやウェブサイトを使った口コミ効果の創出とその継続は、流動的で気まぐれなユーザーの嗜好と思考をつぶさに観察しながら、その時々のベストな方法を模索していく必要があります。

LTV(顧客生涯価値)

新規顧客と既存顧客への販売比率を表した法則として、1:5の法則があり、一般的に新規客獲得のコストは、既存客を維持する場合よりも5倍から10倍かかると言われています。企業や組織は、多くの時間や金を掛け、新規顧客の獲得に躍起になるよりも、既存顧客との関係をより深め、個別のニーズに対してロイヤリティを高めていくことのほうが、効率的で有意であると言えます。

マーケティング用語でこれを「リレーションシップマーケティング」と呼び、市場シェアを拡大するのではなく、1人ひとりのユーザーにおけるシェアの拡大を目指し、自社の商品やサービスをブラッシュアップしていくことを目指します。そうした意味で、広告(マス・マーケティング)の対極にある考え方と捉えることができます。

リレーションシップマーケティングを考えるうえで参考になるのが、LTV(Life Time Value)=顧客生涯価値です。自社のユーザーが、生涯(あるいは長期に渡って)購入し続ける商品やサービスの価値をトータルに考え、ユーザー一人当たりの生涯の購入総額において、シェアをどれだけ拡充できるかに着目をします。
LTV(顧客生涯価値)は、一人のユーザーが、自社の商品やサービスに対して支払う金額の合計から、その顧客を獲得・維持するために使った費用を差し引いた「累積利益額」によって算出することができます。

誰の手にも簡単にインターネット接続ができるようになった昨今、ユーザーは、そうして得た商品やサービス、企業を通して得た様々な体験を、SNSを通じて自ら拡散・共有します。
新規顧客の獲得ばかりに目を奪われ、既存顧客の声や想いに目を向けない“売りっぱなし”の状態にしておくことは、大きな機会損失になるどころか、施策しようとする新規顧客拡大の妨げにもなると言え、その重大性は、インターネット以前よりも格段に上がっていると言えます。